4 2005 J. League Yamazaki Nabisco Cup  Trinita vs JEF UNITED
2005.3.19(Sat) 15:00  大分スタジアム:ビッグアイ・・・の帰路

 

2005.3.19 大分市〜九州脱出
 22:40、アサヒ温泉(銭湯)のある牧駅(大分から1駅)のホームにたたずむ関西人。
単線の日豊本線、駅は無人駅、そして待つ電車は下り最終電車。 何がしたいのか意図不明なこの男は、これから九州を南下する。 終電で!!
方向からして帰る気ないのでは?というバカな移動だ。 この電車で、終点の「佐伯」というところまで行く。 時間にして1時間20分。 ついた頃にはもう日付が変わってる計算になる。
 終電の車内は閑散としており、車窓も真っ暗なのですることもない。先ほどの“のぼせ”も手伝い、終点までぐっすり眠ってしまった。

 0:01、終点佐伯に到着した。 この頃になると乗客も自分を含めわずか5人。
佐伯駅も比較的大きいものの、多分に漏れず地方色を発揮していた。 当然終電の到着するこんな時間にバスなんぞなく、タクシーすらいない。 この駅で降りた乗客たちは歩いて自宅に帰るなり、家族が車で迎えにきてるなりで、足早に闇に消えて行った。
 駅前にコンビニもないこの街で、自分はどこへ向かうのか? またしても闇の中を黙々と歩きだした。 コンビニはないものの、24時間営業のスーパーが場違いにあったので、夜食(というより非常食)を調達してまた歩く。
10分ほど歩き、到着したのは『佐伯港』。 ここ佐伯も港町で、ここから四国へフェリーが出てるのだ。 それも24時間運行している。 24時間運行とはいえ、のべつ幕なしに出港してるわけではない。
現在0:30。 そして次のフェリーは3:00出港する。 あと2時間半。ここで時間つぶしをしなければならない。
港とはいえ、あたりは漆黒の闇。人っ子独りいない。 そして何よりフェリー乗り場の建物までもが真っ暗。 入口も施錠されてる。
待合室で仮眠すればいいと思ってた予定がものの見事に崩れる。 そしてなによりココはめたくちゃ寒い。 このままでは死ぬ!  我が命を守るべく、必死で歩き周り、開錠されてる待合所への入口を発見。 九死に一生を得て施設内へ進入することができた。
 昨年のレアル戦遠征後に仮眠した岐阜の「木曽福島駅」を彷彿とさせるような寂しい待合室で、ひとり寒さにふるえながらいつしか夢の中にいた。
■九州の次は・・・ ■凍死するような寒いトコ ■ちなみにこちら木曽福島駅
  04年レアル戦遠征紀より

 午前(深夜2時半)、辺りの騒がしさで目がさめた。 2時間まるまる寝たようだ。幸い風邪もひかず奇跡的に生きていた。
待合室にはおどろくほどたくさんの人がいた。乗船手続きが始まっていたのである。 みんな3時のフェリーにのる客。どこから沸いてきたんだと思ったら99%自動車で乗る客。みんな駐車場で仮眠してたよう。 フェリーも入港しており、一般客(人間だけで乗る客)から乗船が始まる。驚いたことに、自分以外に3人の「人だけ乗船」の客がいた。彼らはどこから来たんだろう?そしてどこで寒さに耐えていたんだろう??? 分からん。
 フェリーの行き先は対岸の高知県。所用時間はジャスト3時間。 乗船するや否や、すぐにまた眠りについた。2等客室はただのカーペット敷きのスペースに毛布があるだけだが、これでも横になって寝れるだけありがたかった。 
■けっこうデカいフェリー ■カーペットでも大満足


2005.3.20 四国上陸
 3時間後、フェリーは四国高知県の西端、「宿毛(すくも)港」に着岸した。
ここでも乗組員にたたき起こされるまで気づかないほど爆睡してた。
あわてて下船すると、3月下旬とは思えぬ、そして四国とは思えぬ寒さに一気に目がさめた。
■ようこそ高知へ ■道は一本

「母さん、ボクは今四国にいます」
そぅ叫びたくなる。九州行った帰り道、それもサッカーの帰り道が四国経由なのだから。(自分でプランねっときながら・・・)
 さて、これからの行程は言うまでもなく、四国を横断して本州に復帰しなければならない。 とりあえず東へ、高知市を目指すことになる。

宿毛港から、土佐くろしお鉄道(3セク)の宿毛駅まで移動しないと高知への道は開かれない。 しかしまたしても港〜駅の移動手段がない。タクシーもない。
そしてこの宿毛港から宿毛駅までの距離もかなり遠い。2〜30分はあるかないといけないらしい。  さっきのフェリーに乗ってた「人だけ乗船」の人たちはどうするんだろう?と思ってたが、こちらが寝坊したために彼らの姿はもうない。どこへ行ったかも分からず、結局自分の足でまた歩かなければならなかった。 (総じてこの旅はよく歩いた)
 駅までの道は一本。ひなびた港町は波音以外何も聞こえないほど静かだった。
10分ほど歩いただろうか、果てしなく何もない景色が続く中、道端の空き地に目を疑うほどに衝撃的なモノを見つける。。。。

 土佐くろしお鉄道・宿毛駅 と聞いて「あの事故」を記憶してる方も多いでしょう。
事故発生からまだ2週間あまりしかたっていないこの日、空き地にはなんと事故車両が保管(放置?)されていた。 この光景には正直鳥肌が立った。 電車ってここまでひどくつぶれるものなのかと。 このさき事故現場の宿毛駅に行くことさえ躊躇してしまいそうになるものだった。

 さらに10分ほど歩き、宿毛駅に到着した。
宿毛駅も事故の様子を物語るにあまりある無惨な様相を呈していた。
亡くなられた運転士のご冥福をお祈りします。


2005.3.20 四国横断
 
 当然ながら電車は動いていない。ここから30km先の中村という駅までは代行バスでの移動となる。
この度二度目、そして人生でも二度目の代行バスに乗る。 時間はちょっとよけいにかかるけど(約70分)、観光バスなのでゆったり寝ていける。逆に楽かも。
高知県中村市で有名なものといえば「日本最後の清流 四万十川」。 川を横切るように橋を渡るから少ししか見えないが楽しみにしていた。 で、実際に見た四万十川は・・・ ぜんぜん清流じゃなかった。 普通の川。見た感じには淀川や荒川とさしてかわりないような・・・
 中村駅からまだ少し先の窪川駅までがくろしお鉄道のエリア。 そこまでは青春18きっぷは使えないし、各停ではものすごい時間がかかる。どうせ乗車券買ってるんだからと特急で窪川を目指す。(特急料金はかなり安かった。\500。 でも乗車券\1550。)
■観光バスで ■お遍路の国、四国 ■清流か?

8:45、窪川駅。
すぐに乗り換え、一気に高知まで乗る。 四国においての「一気に」とは、「乗り換えなし」という意味であって、「迅速に」という意味ではない。
■駅前になんにもないぞ ■単線一直線
小生、JR四国の本当の恐ろしさをしらなかった。
 JRといえば超大企業というイメージがある。 いくら地方、四国とはいえ高知を貫く幹線だからりっぱな路線だと思う・・・よね普通。
単線なのはもちろん、1両編成であり、そして何よりディーゼルカーという地方の中小私鉄と変らない環境を提供してくれる。それもこの先10時間近くこの待遇に耐えねばならん。
みなさんも一度ネットで「JR四国 単線 非電化」というキーワードで検索してみてほしい。四国って9割以上が単線でディーゼル区間なんだと。 鉄ちゃんじゃないから、そんなことなど知らないし、実際にその場に行ってみてはじめてその恐ろしさを体験することになるわけだ。事前に知ってたらたぶんしりごみしてただろう。
 単線の怖いところは、特急や対向車両(“電”車でも“列”車でもないからなんと言えばいいのか、対向気動車?)の待ち合わせ停車。「通過待ちです」ってアナウンスして平気で駅に5分とか10分とか、長いときは20分以上も停車しよる。 これ車で走った方が圧倒的に速いよな。
 景色も単調で、高知とはいえ、海岸線もほとんど見ることができず、田園風景か山の中かトンネルか、いずれかの景色を繰り返し見せ付けられる。ケータイもかなりの確率で圏外表示。 とんでもないとこに来てしまった。 やることは「睡眠」しかなく、高知までの2時間半、貴重な人生の2時間半を無駄にすごした。
 この日、九州福岡で震度6の大きな地震があり、高知でも震度4クラスを記録したらしいが、こちとら四国だし、大揺れのディーゼルカーだしぜんぜん気づかなかった。 後に運転手が駅員と話してるのを小耳にはさんだが、運転してるとかなりゆれたらしい。 こっちはそんなこと知る由もない。

 11:30、高知駅に到着。
この気動車(うっとおしいから以後「電車」って書く)は高知からまだ先にいくけど、一旦ここで下車。窪川から2時間20分「乗りっぱなしの刑」に耐えた。
ここいらでリフレッシュしないことには廃人になりかねん。 時刻表と葛藤して、本州に戻ることができる、次の、そして本日最後の電車は13:40高知駅発。(これより遅れたら『四国一泊コース』しか選択肢がなくなる)
 約2時間のフリータイムができた。
高知へは去年旅行で来ているのでだいたい街の様子は分かってる。
 ベタだが、「日本三大がっかり名所」のはりまや橋を見て、商店街そそぞろ歩きようやく昼食。
高知といえば「カツオのたたき」。これを食わずして高知を語れない。 「旬」ということからいえば、この時期は一番味が落ちるのだが、それでも本場の味には変わりない。 美味。
 高知城やら日曜市などをぶらぶら歩く。 こういう時間はすぐ過ぎてしまうもので、あっというまに発車時刻が迫ってくる。
気持ちも新たにまた電車に戦いを挑む。 ここからが本日最大の刺客、2時間50分「乗りっぱなしの刑」に処される。
■高知 ■風情たっぷり ■竜馬さんがいた ■たたき ■高知城

 また同じ景色、高知からは北上して四国山地を抜け「阿波池田」という四国内陸(奥地?)の駅を目指す。
行けども行けども山の中。それも険しい四国山地はどこへ行っても絶景。 これだけ絶景を見せられるとさすがに飽きる。
先ほど同様「寝る」しかないのだけれども、そないに眠くもならんし。。。 ただ絶対に「俺は何でこんなことをやってるんだろう?」ってことだけは考えないようした。それを考えたらたぶんものすごい疲れがでるだろうし・・・ 意味なんてねぇもん。
 この2時間50分の乗車時間の中で動いてる時間はいったいい何分なんだろうってくらい、この区間でも「待ち合わせ停車」をする。
途中どこか覚えてもないが、特急&対向車の通過待ち「20分停車」が、特急の遅れで“40分停車”になったところがあった。四国はすべてにおいて「特急」の運行が最優先されるから、各停が何分待とうがお構いなしだ。
駅も無人駅だし、電車から降りて、さらに駅からも出て、駅前の自販機(コンビニなんてない)で飲み物かって、しばらく街(村)を歩いて帰ってきてもまだ電車は止ってるんだからここはすごい国だ。(もはや日本ではないと思いたい)
 これだけ遅れても、次の待ち合わせ駅でつじつまを合わせるからトータルでいうと遅れはほとんどないのがJR四国さんの妙技。結局のところそんなには遅れない。JR西日本・東日本ではなせない技。

■大ボケ ■歩危マートとはいかに ■絶景だ

2005.3.20 四国脱出
 阿波池田駅についた。

ココから先の行程といえば、香川にぬけて瀬戸大橋で四国脱出となる・・・のが普通。
が、自分が選んだのはさらに東へ向かう、吉野川ブルーラインという小洒落たネーミングの路線。 名前は小洒落てるけど、実態は今までと何も変らぬ単線非電化、電車は1時間に1本のローカル線。
 今までの行程でかなりやられてるので、北に向かおうが東に向かおうがどっちゃでも変らんし。
終点徳島まで1時間半。 学校帰りの高校生がわんさか乗り込んでくるこの時間帯、今までの必殺技「辛い時は寝る!」というのも、十分に寝すぎてしまってるのでもう使えない。 風景も変らないので、どこ見てるか分からない、“いっちゃってる目”になってしまう。
四国は辛いよ、辛すぎるよ。。。。

18:30、徳島到着。 半日以上かけて四国横断を達成した。
四国が死国といわれる理由がわかったような気がした。


さて徳島から先には電車がない。
本土復帰するには、高速バスで淡路島をつっきって神戸へ行く手段がある。
…が、神戸行きのバスはもうない。

 もうひとつ、四国脱出のルートがある。
航路!
徳島から和歌山にフェリーが運航されてる。
船で四国に入り、そして船で四国を抜ける。なんともシンメトリーな行程ではないか!(ってそんなことは言ってられないくらいしんどいけど)
でも船はいいんだわ。なんせまっすぐ横になれるから。 今日一日、座りつづけてきたのでフェリーとはいえ、横になれる幸せは言葉にはできないほどである。
■徳島駅 意外とデカい ■フェリーターミナル ■ヴォルティス ■秋葉 ■タクト

 完全に暗くなった四国から闇に包まれた海へ出港。 本州まであと2時間。
横になればなんとかなる・・・そう思っていた。 でも実際はそうじゃなかった。

酔う!!!!

普段乗り物酔いなんか一切しないんやけど、疲れてるから体もおかしくなってる。 気持ち悪いし休めない! 素直に橋渡って帰ったらよかった。


22時、夢の本州に降り立った。  長かったー。
・・・いやいや、ここは和歌山、関西の最南端。滋賀までどれほどの距離があるか!
ここでこのたびを「完」にしたかったがまだこれから3時間近く移動する必要がある。
和歌山から大阪へ。大阪で2度乗換えをして京都・滋賀へ。
1日ぶりに電気で動く『電車』に乗ったわけだが、早い!!!乗り心地もいい!!!四国もこういう電車だったらここまで人間破壊されることはなかったのだが。
■寝れるしいいんだわ ■本土復帰 ■やっぱ関西はいい!

 最後の電車のなかで、人間崩壊の真の恐ろしさを体験した。
寝てるわけではない、ちゃんと目は開いてるし窓の外をみてる。当然夜なので外は真っ暗なのだが、なぜか車窓から四国の絶景(渓谷)が見える。冗談じゃなくマヂで見えるんよ。  自分が今関西にいるということが理解できなくて、「あー、まだ四国から抜けられない!」って思ってるんよね。
生まれて初めて、“幻覚”というものをみた旅だった。

 四国・・・なめてかかってはいけない土地・・・死国








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